アイロンで本を解体
ここではアイロンを用いた本の解体方法を紹介します。
アイロンとは、本来は洋服などのシワを伸ばすために使う道具です。
ですが、ここでは本のシワを伸ばすのに使うのではなく、本を解体するために使います。
アイロンではなく裁断機で本を解体する場合は『本の裁断の方法』をご覧ください。
なぜ、アイロンを使って本が解体できるのか
なぜ、アイロンを使うと本を解体できるかに関して説明します。
本の背の部分を見ていただくとわかると思いますが、この部分は「糊(ノリ)」によってくっついています。
この糊の部分を温めるのにアイロンを使います。
糊を温めると、糊が柔らかくなります。
この柔らかくなったときに本を背の部分からはがそうとすると、紙が破れることなく綺麗に取ることができます。
アイロンの選ぶコツ
ここでは、本の分解をする際にお薦めのアイロンを選ぶコツを紹介します。
お薦め機種に関しては『電子スキャンに必要なお薦め 道具』をご覧ください。
大きめの物を選ぶ
アイロンの接地面の大きさは大きい物を選びましょう。
正確には、縦の長さが長いものとなります。
分解する必要のある本のサイズによりますが、一般的なA5サイズの本の縦の長さが14.8cm、B5サイズが18.2cmとなります。もう少し大きめの本でもA4サイズで21.0cm。
このため、接地面の最大の長さが、余分を考慮して22cm以上の物を選ぶとよいでしょう。
このサイズであれば、一度にすべての糊を温めることができます。
余計な機能は不要
最近のアイロンにはさまざまな機能が含まれております。ですが、本の分解のみに使用するのであれば、木のは限定的でかまいません。
温めるだけの機能があればかまいません。
スチーム機能などは使いませんので、価格の安さを求めるのでしたらそうした機能がない物を選びましょう。
なお、洋服などにも使うのであれば、高性能アイロンを購入するのも一つの手です。
コードレスの方がお薦め
扱いやすさの面では、コードレスの方が良いでしょう。
しかし、価格面で高くなる傾向にありますので、あまり気にしないのでしたら電源コードがついているものでもかまいません。
ただ、アイロンを使うときは、パソコンなどを使用している場所と同じコンセントから電源を得ないように注意する必要があります。
アイロンは電力を食いますので、下手をするとブレーカーが落ちる可能性があります。
コードレスの場合は、別の場所で温めた後に、気楽に持ち運んでくることができる分、利便性が増します。
アイロンを使うメリット
アイロンを使うメリットは下記のようになります。
背の方ギリギリまで綺麗に取り除ける
アイロンを使うことで、糊の部分をはがしていくことができるため、裁断するより、より背の方を残した状態で取り外すことができます。
ただ、糊の部分を綺麗に取り除くことはできないため、自動送り込み型のスキャナを使う場合は、結局は裁断する必要性が出てきます。
見開きページなどが多い漫画などの場合は、このアイロンを使って背のうギリギリまで確認し、適した位置で切り取ることで、より見開きが綺麗に見えるようにスキャンすることができます。
カッターを使わずに済む
何回かに分割しないと裁断機に入らないような大きさの本の場合、カッターで一度分割する必要が出てきます。
しかし、この分割に失敗すると、本文部分にカッターの切れ込みが入ってしまい、結局スキャンもできないということが起こります。
アイロンを使用すると、この分割をカッターを使わずにできるため、このような失敗が起こらないで済みます。
特に大事な本の場合は、アイロンを用いて綺麗に分割し、その後裁断機を利用するとよいでしょう。
本の解体の際のアイロンの使い方
アイロンの解体方法は下記になります。
アイロンを背の部分に当てる
アイロンを背の部分に当てます。
温度は最初は小さめで試しましょう。
あまり糊が解けないようでしたら、徐々に温度を上げていきます。
最大値まで上げると、本が燃える可能性もありますので、どれくらいの温度が適切かがわかるまでは、台所や洗面所などの水がある場所の近くで実施するとよいでしょう。
糊が解けたら本を背から引っ張る
糊が解けてきたら、背から本の本体を引っ張ります。
糊がしっかり解けているのであれは、比較的簡単に外れます。
取れないのであれば、糊がまだ解けていないということですので、再度温めなおしましょう。
1ページ目や最終ページは、背の部分だけでなく、接続面にも少し糊が付いていますので、その部分は別途アイロンを当てるなどして糊を溶かしてから奇麗に取り外しましょう。
裁断する
自動送り込み式のスキャナを使う場合は、最終的に裁断をする必要があります。裁断をして糊の部分を完全に除去しないと、スキャナのスキャン面を傷つける可能性があるからです。
複数に分割して裁断できるため、より細かい位置設定をして裁断することができます。
自動送り込み式ではなく、台に置く方式でスキャンをするのでしたら、多少糊が付いている状態でもかまいません。
その際は、最終的に画像編集ソフトで周囲を切り取って糊の部分のスキャン位置を消すようにします。